今回は、ベルギーの伝統的な修道院(トラピスト)ビールをベースに、リコリス(ハーブの一種、日本では馴染みが薄いですが、欧州では子供のお菓子にリコリスキャンディがあるくらい親しまれています)、コリアンダーシード、そしてオレンジピールを使用して、複雑な香りをもつビールに仕上げました。 グラスを傾けると、どっしりとしたモルトのアロマ、レーズンや干したイチジクを思わせるドライフルーツの香り、リコリスのややアーシーな甘い香りが立ち上ってきます。 口に含むと、強めのアルコール感と、骨太なモルトの甘みが感じられるとともに、その奥に酵母の醸し出すバナナ香がほのかに感じられることでしょう。 飲み込んだアフターテイストは、意外にドライ。どっしりとしつつも、飲み飽きない軽やかさがどこかに感じられる仕上がりです。 味わいと香りを楽しんでいただける液温は、通常のビールより少し高めの12℃前後。温度が上がるにつれ、さまざまな香りが開いてくるのが感じられるようになります。夜の深い時間をこのビールとともにたゆたってみてはいかがでしょうか。イルドな柑橘の味わいが口中に溢れ、飲み込んだ後に残る上品な苦味が、最後に複雑な味わいを引き締めます。 |